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乾癬:難治性角化異常症
乾癬の定型疹:腰殿部を中心に鱗屑を付着する紅色局面が多発してみられる。通常痒みは訴えないことが多い。 乾癬の組織像:角質層は著明に肥厚し、同部には核の遺残した不全角化の状態がみられる。また、角層内には好中球が集簇した膿疱の形成がみられる。表皮突起はほぼ均等に延長し、乾癬に特有の肥厚形態を示す。
●皮膚科外来の1%は乾癬患者
(尋常性)乾癬は、肘、腰、下腿伸側など刺激の受けやすい部位に厚い鱗屑を付着する紅色局面が生じることを典型とする慢性難治性皮膚疾患です。比較的遭遇頻度の高い疾患で、本邦では皮膚科外来患者の約1%が乾癬患者といわれています。欧米ではさらに頻度が高く、罹患者が多いこともあり、数ある皮膚疾患のなかでも最も盛んに研究が行われている病態の一つです。
●乾癬は遺伝的素因を基盤とした角化異常症
乾癬にはさまざまな異常が指摘されていますが、もっとも際立った特徴として、角化が極めて亢進していることが挙げられます。角化とは表皮基底部にある角化細胞が順次表層へ分化移行し、最終的には自らの死によって角質層とういう体の表面を覆う膜を形成する過程ですが、この角化には4週間を要するとされています。しかし、乾癬においてはこの期間が4-5日程に短縮されているのです。結果として表皮細胞は角質層に至っても死にきれず、核が遺残してしまいます。これを病理学的には不全角化あるいは錯角化といいますが、このように完全に角化し切れず、角質層に核が残ってしまうと、臨床的には鱗屑として認識されます。さらに、乾癬ではこの角質層に多数の好中球の浸潤が認められます。この角質層への好中球の遊走は、異常な角質抗原とそれに対する抗体による抗原抗体反応により生じる遊走因子によるものとされています。しかし、なぜ角化が亢進するのかとう根本的なところは、今のところ遺伝的な素因+αと説明されており、これからはDNAレベルでの解析が進むと思われますが、いわゆる体質による疾患、持って生まれた素因を基盤した疾患であることには間違いはないようです。なお、皮膚以外の臓器が侵されることは一部に関節炎を伴う例を除いてはほとんどありません。
●乾癬の治療選択肢は多い
乾癬の治療にはさまざまなものがありますが、現在保健が適応され一般開業医でも可能な治療法にはさまざまなものがあります。それぞれに一長一短があり、どの治療法を選択するかは重症度、病気をどの程度まで治したいのかという患者さんの意志、経済的状況、治療に割ける時間的余裕など、さまざまな条件を考慮しながら選択することになります。そして、これが一番重要なポイントなのですが、どの治療も症状を軽快させるだけで、乾癬の根治療法ではないということの認識です。このことは患者さんがしっかり理解しておくべきです。とはいっても、何十年以上にもわたり、全身の皮疹のため夏でも長袖を着、海にも行けず、社員旅行などでもひとりで家族風呂を利用したりとみじめな思いをしつづけて来た人がシクロスポリンの服用で皮疹が完全に消失し、これらの束縛から開放された喜びは、 その人の人生観を変えてしまうほど大きなものであり、これら新しい薬剤の登場は、長い間病気に悩んでいる患者さんにとって福音になることに間違いはありません。