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類天疱瘡:自己免疫性水疱症

類天疱瘡の臨床像:前腕部に緊満性水疱、びらんが多発して認められる。 類天疱瘡の組織像:表皮下に水疱の形成がみられる。細胞浸潤に好酸球を含むことも類天疱瘡の組織学的特徴である。
●今回のテーマは水疱症
水疱を形成する皮膚疾患は数多くありますが、水疱症とは自己免疫学的な機序あるいは遺伝的素因による水疱形成疾患を指し、熱傷、細菌、ウイルスなどその原因が明らかなものは除外されます。遺伝的素因に基づく水疱症は先天性表皮水疱症とも呼ばれ、病型はたくさんありますが、小児期より機械的刺激を受けやすい部位に水疱を生じるというのが最も一般的な病態で、頻度としては稀です。 一方、自己免疫性の水疱症、そのなかでもとくに類天疱瘡は比較的頻度の高い疾患で、しばしばみのがされている病態でもありますので、ここでは類天疱瘡をとりあげてみたいと思います。とういうのは、水疱症は確実な診断でのみ患者は医療の十分な恩恵を受けることができるからです。
●自己免疫性水疱症の発症機序
さて、自己免疫性水疱症に含まれる疾患には天疱瘡、類天疱瘡、ジューリング疱疹状皮膚炎などがあります。これら疾患の発症機序は、皮膚病には珍しく(?)、比較的明快に説明されています。すなわち、表皮細胞を結合しているある種の物質に対して自己抗体が産生され、その抗原抗体反応により表皮間あるいは表皮下での解離が生じ水疱が形成されるのです。この表皮細胞を結合しているある種の物質というのがそれぞれの疾患により異なり、結果として水疱のできる場所も違ってきます。例えば、天疱瘡では、表皮細胞間物質に対する抗体が産生されるため、表皮内に水疱が形成され、一方、類天疱瘡で、表皮と真皮とを結合する物質に対する抗体ができてしまうために表皮下に水疱が形成されるのです。このように水疱症は自己免疫疾患であり、水疱の形成機序はうまく説明できるのですが、さて最も問題となる「なぜ自己抗体が産生されてしまうのか」という根本的な疑問に関してはまだまだよく分かっていないというのが現実です(これが解明できればノーベル賞モノ!)。
●類天疱瘡は最も頻度の高い水疱症
これら自己免疫性水疱症の中で、最も頻度が高く、遭遇機会の可能性が高いのが類天疱瘡です。類天疱瘡は、高齢者に好発し、一般に著明な掻痒を伴い、緊満性の水疱が多発することを特徴とする疾患で、定型例では類天疱瘡とまで診断できなくとも、水疱症であることを確診することはそれ程困難では有りません(しかし、類天疱瘡の確定診断のためには、病理組織学的検索や免疫組織学的な確認が必須)。しかし、類天疱瘡はときに水疱をあまりつくらず、頑固な掻痒と蕁麻疹様の皮疹のみのこともあり、この場合じんま疹、慢性湿疹、老人性湿疹などと誤診されることがしばしばあり注意を要します。
●水疱症の治療は専門医に任せる
類天疱瘡に限らず水疱症の治療は、ステロイドの全身投与が第一選択になります。どの程度の量をどの位続けるのかというのは、症例により異なります。また、かなりの量を長期間投与することを余儀なくされることも多いので、ステロイドの副作用やさまざまな合併症など頭の痛い問題が生じることもしばしばです。したがって、十分な経験を積んだ皮膚科専門医のもとで治療を受けるのが原則で、とくに重症の水疱症の場合、各科との連携がとりやすい総合病院の皮膚科のもとで治療するのが理想です。