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にきびは青春のシンボル?
にきびの臨床像:前額部に毛包一致性の丘疹、膿疱が多発してみられる。この例は進展した病態を示しているが、にきびの初発疹は面皰と呼ばれる毛孔一致性の小さな丘疹であり、当初は炎症を伴わない。やがて、炎症を伴い紅色の丘疹となり、膿疱、嚢腫と悪化、発展し、多彩な像を呈するに至る。 にきびの初発疹である面皰の組織像。毛包漏斗部に角質を充満した開大がみられる。この面皰が徐々に膨らみ破裂することにより炎症をさらに増悪させることになる。

にきび(尋常性座瘡)は「青春のシンボル」とも呼ばれるように、思春期の若者達にとってはごく当たり前の病態です。この意味で、にきびは病気というよりは一つの生理現象とみることもできます。しかし、体の中でも最も目立つ顔にできた醜いブツブツは若者達にとっては大きな悩みであることは想像に難くなく、その与える精神的悪影響を考えるとき、にきびを病気と認識するのも当然かと思われます。
●にきびの発症機序
さて、にきびは思春期になって急速にアンドロゲンの分泌が増加し、それが脂腺を刺激しその結果皮脂分泌が亢進したとき、特定の青年に発生してくるものです。にきびの発症機序として、皮脂の分泌過剰とともに毛包の出口の角質肥厚による毛孔狭窄が重要視されています。この毛孔の狭窄は毛包に常在する細菌であるcorynebacterium acnesが有するリパーゼにより皮脂成分トリグリセライドが遊離脂肪酸に分解され、その刺激により毛穴の出口の角化が亢進するためと説明されています。閉塞した毛包はやがて開大して面皰となり、これに炎症が加わることにより丘疹、膿疱、硬結、嚢腫などを形成し多彩な皮疹を呈することになります。
●尋常性座瘡と座瘡様発疹
一方、座瘡様発疹というのは、にきびの初発疹である面皰が存在せず、発疹に多様性がないことで、にきびとは区別されます。座瘡様発疹の原因としては、薬剤(ステロイド、経口避妊薬、抗てんかん剤、抗結核剤など)や内分泌異常(Cushing症候群など)などがあげられます。
●にきびの治療
さて、にきびの治療戦略を上記の発症機序から考えてみると、1)毛包出口の角化物を除去する、2)毛包内のcorynebacterium acnesを減少させる、3)脂腺機能を低下させる、4)炎症をおさえる、などが挙げられると思います。1)に対しては石鹸による洗滌、面皰の圧出処置、硫黄剤の外用、ビタミンAおよびその誘導体の内服など、2)に対しては抗生物質(おもにテトラサイクリン系)の外用、内服、3)に対しては、ビタミン剤やエストロゲン剤の内服、4)に対してはステロイドの外用や内服、局注などがオプションとして考えられます。この中でも最も一般的に行われている治療は1)と2)ということになります。

また、にきびの増悪因子をなるべく除去するための生活指導も重要です。食生活では糖分、脂肪を控える、化粧を控える、規則正しい生活リズムを維持する、睡眠時間を十分取る、患部を清潔に保つ、お湯による石鹸洗顔の励行などです。にきびは以上の生活上の注意と薬剤療法により、直ぐにはよくならいないもの必ず軽快する病気であること、そしていずれは完治することをよく説明し、根気良く治療をつづけてもらうことが肝要と思われます。