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トップ  >  かんせん(尋常性乾癬)
乾 癬(かんせん)

頭部、肘、腰など脂の分泌の多い部位や刺激の受け易い部位に白い角化物(専門用語では鱗屑といいます)を付着する赤い発疹が多発する皮膚病です。一般に痒みなどの自覚症状には乏しいことが多いようです。慢性の経過をとり、難治性の疾患でもあります。世界的に患者さんの数は多く、本邦では外来患者さんの約1%は乾癬といわれています。

これだけ悩まれている患者さんが多く、しかもなかなか治らない病気ですから、その病因や治療に対する研究は盛んに行われています。しかし、残念ながら、原因あるいは発症機序に関しては未だ不明といわざるを得ない状況です。ただ、この病気では角化の速度が著明に亢進していることは分かっていて、皮膚の新陳代謝が盛んになってしまっている病気とも考えられます。
●治 療
多くの治療法がありますが、現在一般的に行われているものを略述します。
 ・ ビタミンD3軟膏(ドボネックス、ボンアルファ、オキサロール)による外用


ビタミンD3軟膏は、表皮細胞に作用して、角化を抑制することで乾癬を良くします。ステロイド剤に比し、効果はやや劣るようですが、副作用が少ないので、長期に使っても安全です。現在、乾癬に対して、第一選択の外用剤です。


 ・ 副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)による外用療法:


最も一般的な治療法です。この治療でかなり軽快します。しかし、どうしも長期に連用するということになりますので、ステロイドによる副作用が問題となります。正常の皮膚には塗らない、軽快したら外用を休む、他の治療と併用するなどの工夫が必要です。


 ・ 紫外線療法(PUVA療法):


ソラレンという紫外線に対する感受性を増強させる薬を塗った後に長波紫外線(UVA)を当てる治療法で、乾癬にかなり有効です。しかし、光を当てた場所の色素沈着や、週2-3回の通院が必要、手技が煩雑などの欠点もあります。


 ・ ビタミンA誘導体:


レチノイドと呼ばれ、角化を抑制することで乾癬をよくします。しかし、この薬には催奇形性という致命的な副作用があり、妊娠の可能性のある人は男女を問わず使えません。また、内服すると唇が荒れたり、手の皮が剥けたりする症状も必発します。


 ・ シクロスポリン:


腎の移植などに使われる免疫抑制剤ですが、乾癬にもかなり有効で、最近保険でも使えるようになりました。しかし、まだ使われはじめてからの期間が短く、完全に安全性が確立されているわけではありません。重症例に限り、慎重に検査をしながら投与する必要があります。
以上のように多くの治療法がありますが、どの方法においても治療を止めれば再発します。従って、根治療法はありません。今の所、完治には時期を待つ以外ないようですが、よい状態でコントロールすることは可能ですので、根気よく治療を続けるようにしましょう。
●角化とは
皮膚の表面には細胞が数層から十数層、石垣の様に積み重なっている表皮と呼ばれる場所があります。表皮を構成する細胞は同じ場所にじっとしているわけではなく、下から上へ押し上げられるように、かたちを変えながら、ある一定の速度で常ねに移動しています。そして、究極的には自らの死によって皮膚の表面に角質層と呼ばれる硬くて丈夫な線維性たんぱく質(ケラチン)を主成分とする膜をつくります。この膜がからだを外からのさまざまな刺激から守るバリアーになるのです。この角質層をつくる過程を角化といいます。いわゆる垢は古くなった角質層が剥がれ落ちたもので、乾癬の皮疹の表面にみられる白い粉のようなものも剥がれ落ちようとする角質です。個々の表皮細胞が角質層となり、やがて身体から剥がれおちていくには通常約1カ月を要しますが、乾癬では角化の速度がとても速くなっており、4-5日で角化が終ってしまいます。乾癬でなぜこのように角化が速くなっているのかはまだ分かっていません。
●ステロイド外用剤による副作用
ステロイドによる全身的な副作用には、高血圧、糖尿病、胃潰瘍、骨粗鬆症などが知られていますが、このような全身的な副作用は外用剤ではほとんど問題にはなりません。外用剤での副作用には皮膚の萎縮(皮膚が薄くペラペラの状態になる)、多毛(毛深くなる)、易感染性(ばい菌がつきやすくなり、化膿し易くなる)、座瘡(にきび)、皮膚炎(とくに、顔面口囲の皮膚炎)などがあります。とくに、問題になるのは皮膚全般が薄く弱くなってしまうことで、誰においても、強いステロイドの外用を長期に連用すると現れます。しかし、ステロイドをうまく使うことでこのような副作用はかなり回避することができますので、必ず医師の指導を受け、漫然とステロイドを塗り続けることをしないように注意しましょう。ステロイドは諸刃の剣ですが、非常に有用な薬です、上手に使っていきしょう。
●ステロイド外用剤上手な使い方
 ・ 病変部にのみ塗るようにし、正常な皮膚には塗らない。(病変部はステロイドの副作用がでにくいものです)

 ・ 良くなったら、ある程度の期間休薬する。

 ・ なるべく、弱い作用のステロイド剤にする。(ステロイドの外用剤には非常に作用の強いものから、弱いものまで種々あり、医師が病状をみながら判断します)

(文責:三原一郎)
最終更新日:2004/12/28
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