アトピー性皮膚炎と伝染性軟属腫

アトピー性皮膚炎患者は皮膚の防御機能が低下しているためウイルスや細菌などの様々な感染症が合併することが多い。特に幼小児期(4〜12才)は伝染性軟属腫や伝染性膿痂疹の合併が多い。これはこの時期の皮膚の症状と生活環境が影響していると考えられている。
●幼小児期の皮膚の特徴
 ・ 皮膚全体が乾燥し苔癬化局面が著明

 ・ 掻痒が強く掻破のため出血 ・ 血痂を生じ、また滲出性にもなる

 ・ アトピー性皮膚炎の治療をとしていない幼小児でも毛孔性角化性丘疹や魚鱗癬様の皮膚(アトピー性皮膚)をしていることが多い

伝染性軟属腫の好発部位は上腕〜腋窩〜側胸部でこれらの部位では湿疹ができたうえに感染するため、掻破により他の部位へ感染を広げたり炎症をおこしていたり自潰し血痂を生じることもある。同一患者でも湿潤 ・ びらん面には感染せず乾燥性の毛包性小丘疹や苔癬化局面に生じ、小さな丘疹が多数できる。また再発例も多い。
感染ルートとして主にプールや入浴時などがあげられ、プールでは塩素による皮脂の除去や体接触が原因と考えられる。が、スイミングに関係なく感染している例も多い。
●まとめ
 ・ 伝染性軟属腫に感染した幼小児のうちアトピー性皮膚炎を認めるもの(29.2%)、アトピー性皮膚を認めるもの(43.8%)であることからもわかるようにアトピー性皮膚炎児(アトピー性皮膚も含む)には伝染性軟属腫が感染しやすい。

 ・ 好発部位以外でも乾燥性の部位ならどこにでも感染してしまうので保湿剤などの使用で乾燥を避け皮膚を健常に保つことが伝染性軟属腫またはその他の感染症の予防になると考えられる。