い ぼ (疣 贅)

原因はヒト乳頭腫ウイルスの皮膚への感染です*1)。このウイルスはわれわれの環境のなかに日常的に潜在しているらしく、小さなキズが絶えずできている手足では容易に感染し「いぼ」となります。足のうらのいぼはウオノメ*2)と非常に似ていますが、ウオノメと違って削っても治りませんし、削る、切るなどの外科的治療やイボコロリ、スピール膏などの外用剤はいぼをむしろ悪化させてしまうことが多いようです。

治療は冷凍療法*3)が主体となります。潜伏期が3-6ヶ月と長く、一見正常な皮膚に長期間潜んで出現してきますので、治療には数カ月以上かかることも稀ではありません。しかし、必ずなおる病気ですので、根気をもって治療にのぞんで下さい。


☆☆治療を受ける方への注意☆☆


 ・ うつるものですから、いぼをいじらないで下さい。

 ・ 冷凍療法では、イボの部分が水疱や血マメになりますが、2-3週間で黒いカサブタになり脱落し正常な皮膚となります。しばしば水疱を形成しますが、治療の過程で仕方のないことです。驚かないで下さい。また、水疱や血マメを破らなければ入浴はさしつかえありません。

 ・ 冷凍療法後あまりにも大きな水疱や血マメができたとき、痛みが極度に強いときは、すぐ来院して下さい。

*1)
ヒト乳頭腫ウイルスによるいぼには。普通のいぼ(尋常性疣贅)のほかにも。若年者の顔。手背に生じ。平べったく盛り上がる青年性扁平疣贅や。外陰部に生じ性交を介してうつる尖圭コンジロームなど種々の病型があります。なお。みずいぼは軟属腫ウイルスによるもので。原因ウイルスが異なります。

*2
)ウオノメは皮膚が慢性に刺激されるために。皮膚表面の角質層が厚くなり。中心部がくさび状に陥入した状態です。中心部の芯のないものはタコと呼ばれます。

*3)
イボに対する冷凍療法は液体窒素を綿球に浸したものを圧抵することによって行います。液体窒素は-200℃近い液体で。ドライアイスを液化したものと考えてよいと思います。冷凍療法の作用機序はウイルスに感染した細胞を凍死させ。細胞ごとウイルスを排除してしまうということ以外に。イボの周りに炎症を起させ。炎症の力をかりてイボを排除させるという意味もあります。

(文責:三原一郎)
最終更新日:1996/10/30