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トップ  >  編集後記(県 2006.10)

山形県会報誌 編集後記
三原一郎
2006年10月号



先日、日医のIT化推進検討委員会に出席してきました。議題は「EHRについて」で、JAHIS特別委員長谷川氏の講演を聴講し、その後意見交換を行いました。


EHR(Electronic Health Record)、多くの会員にとって耳慣れない言葉かと思いますが、現在、欧米を中心に30数カ国で、数千億〜数兆円という莫大な予算をつぎ込んで進められている医療IT化の国家的プロジェクトです。EHRは、ネットワークを介して患者の健康情報(ヘルス情報レコード、診療サマリーとも呼ばれる)を医療機関、検査機関、支払者(保険者)、官、地域コミュニティ、薬関連の企業などが、利害関係 ・ 価値観を超えて共有し、患者のために有効に活用しようという構想です。すなわち、EHRは、日本で一般的に考えられているような電子カルテの普及といった医療現場レベルのIT化構想ではなく、医療に関連する多くの業界を巻き込んだ、医療を産業として捉えた国家的プロジェクトであるという点を理解しておく必要があります。そこには、患者のためといいつつ、システム開発業者、保険会社、保険者、医療費抑制を進めたい国や自治体などの思惑が見え隠れしていますが、それも、医療を産業として捉えた国家プロジェクトという視点でみれば、当然のことなのかも知れません。


なお、日本でいわれる電子カルテは、海外ではEMR(Electronic Medical Record)と呼ばれ、EHRとは別概念です。EMRは、あくまで院内電子カルテなどとして医療機関内で患者の診療情報を細かく共有するシステムですが、EHRでは、項目が決められた「サマリーデータ」を医療機関のみならず多くの組織で共有することを前提としています。


委員会では、HERは医療費の抑制を目指したもの、管理医療につながる、産業の中の医療はあってはならない、などとして懐疑的な意見が多く聞かれました。一方で、このような方向性はどんなに医療側が反対しようと、遅いか早いかは別として現実には流れは変わらない。したがって、われわれがやるべきことはその流れを医療の現場の立場から、どのように良い方向へ導くかである、との前向きな発言もありました。


すでにわが国でも、水面下では日本版EHRを目指して動いています。われわれは、EHRのもつ意味について十分に理解し、わが国においてあるべきEHR について考えておく必要があります。