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トップ  >  編集後記(県 2006.06)

山形県会報誌 編集後記
三原一郎
2006年6月号



今月号の勤務医のページで、「医者が足りない!」と山本先生も書いておられますが、このところの勤務医のページは、勤務医の過酷な状況を伝える内容が目立ちます。それだけ、勤務医が深刻な状況に直面しているということなのでしょう。


先日、県医師会と酒田市立病院との懇談会に出席してきました。この懇談会は、有海会長の「まずはわれわれが病院へ出向いて勤務医の生の声を聞こう」として始まったもので、これから県内の主だった病院との間で10回ほど予定されています。


先の懇談会には、病院側から20〜30名ほどの勤務医が参加して下さいました。会では、「若手医師の負担が大きく、当直免除の年齢が引き上げられた」、「当直医はほとんど寝ることができず、翌日の仕事の安全性に不安を感じる」、「患者への説明、同意書作成など時間外での労働が多く、土日もそのために費やされる」、「委員会が20〜30もあり、会議が多すぎる。しかし、行政の指導上必要な委員会が多く削減もできない」、「時間外労働が給与に反映されない(病院長は否定していましたが・・)」、「救急外来への受診者が極めて多いが、ほとんどは一次救急であり、救急外来がコンビニ化している。市民への啓蒙も必要ではないか」。女性医師からは「子育てしながら今の仕事をこなすのは無理」、「女医を全うするなら、負け犬となって(未婚で)働くしかない」、などなど、勤務医の厳しい現状が語られました。


勤務医の過重労働問題は、少子高齢化、国の財政の逼迫、医局制度の崩壊、新研修医制度の導入、女性医師の急激な増加、医療の高度化、患者の権利意識の高まり、医療機関の不十分な機能分化、進まない医療連携などを背景に必然的にあぶり出された日本の医療の歪でもあると思います。そういう意味では、時代が変わっていく中で、いずれ避けては通れない問題であったのだと思います。国が悪い、制度が悪いといっているだけでは、何の解決にもなりません。現状を認識し、どうすればより良い方向へ進めるのか、開業医、勤務医が協働して日本の医療を考えていく時期に来ているように思います。国や医師会が何をしてくれるかではなく、より良い医療のためにわれわれは何ができるのか、それぞれが前向きに行動して行くことこそが重要なのだと思います。県医と病院との懇談会はその出発点であると期待したいと思います。