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トップ  >  編集後記(県 2005.04)

山形県医師会報誌 編集後記
三原一郎
2005年4月号



4月1日より、個人情報保護法が全面施行されました。この法律に対しては、われわれ医師、看護師には、従来から守秘義務が課せられていましたし、今までも個人情報はしっかり守っている、いまさらと感じておられる先生も多いのではないかと思います。日本医師会の松原常任理事も個人情報保護法の講演において以下のように述べています。


「医師には、患者さんの健康と命を守る義務がある。個人情報保護法は個人の情報を守る義務だが、ひとつのことを守るために本分を犠牲にしてはならない。巷でいわれている、患者さんの名前を呼んではいけないとか、カルテに2重3重の覆いをしなければならないとか、病室の名札を外さなければならないとかというのは全くのウソである。まずは、われわれの仕事をきちんと行った上で、個人情報を保護していく、ということが主眼である。医師として一番大事なのは何かを理解いただきたい。個人情報を守るということは、医師としての倫理規範として当然でやるべきことであり、それに従っていれば、罰則に至ることはまずあり得ない。」


まさに正論ですが、一方で、個人情報保護法では、患者さんの情報を第三者に漏らしてはいけないという守秘義務の枠を越えて、個人情報をコントロールする権限をその本人に付与しているという点において、従来の守秘義務とは一線を画す法律になっていることは理解しておく必要があります。すなわち、情報を取得するに当たってはその利用目的を特定し本人に通知する、情報を安全に管理する、本人の求めで開示や訂正に応じる、などが義務とされており、個人情報はあくまで個人のものであるという考え方が本法律には貫かれています。また、事務系の職種にも間接的に守秘を促す法律ができたことは日本の医療史において画期的なことです。


個人情報保護法に対するわれわれの対応は、利用目的の掲示、院内規約の作成など、すでに通知しておりますが、このような措置を講じた上で、今まで築き上げた患者さんとの信頼関係を損なうことなく、倫理規範に則り今まで通りの医療を続けていくことで問題ないのではと考えています。


個人情報保護法は、個人情報の扱いを制限する「べからず」法ではなく、IT社会において個人情報をより安全に利活用するために必要な社会的なルールである、とご理解いただきたいと思います。