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トップ  >  一家言:批判的であれ(皮膚病診療:27(9):1111,2005)

【一家言】 批判的であれ



皮膚科に限らず医学には誤った定義や概念、常識の嘘が少なからず存在する。例えば、湿疹という疾患概念を取り上げてみる。成書には湿疹の定義として「�内因と外因の存在、�組織学的な海綿状態、�湿疹三角形にみられる可変性の点状病変の三つを特徴とする疾患」などと記載されているが、この定義で湿疹を理解できる人がどれほどいるのだろうか。「内因と外因の存在」とは、原因を問わないということを指しているに過ぎないし、「可変性の点状状態」とは、具体的にどういう状態を指すのであろうか?そもそも可変性は発疹の常であり、点状状態に至っては何をいっているのか私には理解すらできない。点状状態が丘疹、小水疱などが集簇した病変を指すのであれば、例えば脂漏性湿疹における紅斑主体の病変のどこに点状状態を見出せるのであろうか?湿疹とは分類されない単純疱疹にみられる小水疱の集簇は点状状態ではないのだろうか?


すなわち、成書に記載されている定義では、湿疹という疾患概念を表現できていないのである。しかも、この湿疹の定義は皮膚科学の常識として成書に脈々と記載され続けられているのである。このことに疑問をもたない方がむしろおかしいと思うのは私だけであろうか。因みに、私は湿疹を「表皮を炎症の主場とした“ 表皮炎”」と定義し、とりあえず自分なりに納得している。


もうひとつ例を挙げてみよう。ほとんどの成書では、発疹学の冒頭に「発疹は原発疹と続発疹とから形成され、続発疹は原発疹に伴って二次的に出現する発疹」と記載されている。鱗屑はもちろん続発疹に分類されているが、例えば魚鱗癬における鱗屑は原発疹から二次的に生じたものであろうか?病気の本質である角化異常により生じた原発疹そのものといえないだろうか?ここでも、続発疹の定義は、定義として矛盾をはらんでいることを指摘できる。そもそも発疹を原発疹と続発疹に分類すること自体意味がないというのが私の考えである。


さて、私のここでの主題は、湿疹や続発疹の定義を批判することではない。何ごとに対しても、批判的な目をもつことが、ものごとの本質を理解する上で重要なステップになるのではないかと言いたかったのである。少なくとも私は“湿疹”を理解するのに数年を要した。そのきっかけは、恩師、アッカーマン教授の「“湿疹”は皮膚科が捨てるべき用語のひとつだ」という“目から鱗”の大胆な発言を聞いたことにあった。一方で、理解を妨げていた大きな要因は成書の難解かつ誤った定義にあったと考えている。若い皮膚科医には、成書に書かれていることや常識といわれていることでもそのまま鵜呑みにするのではなく、常に批判的な姿勢と間違いを実証する努力、さらにはそれを主張する勇気をもって欲しいと思う。そのような姿勢を貫いてこそ、新たな発見があるのではないだろうか。