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ORCAプロジェクトの課題



ORCAは、ことしの4月、正式にリリースされて、満2年を迎えることになりました。日医総研のホームページによると、現在、稼動医療機関数は821だそうです。順調に推移しているとみるべきか、思ったほど普及していないとみるべきか、判断は分かれそうです。


私は、ORCAプロジェクトが、成功するか、失敗に終わるか(一部にしか普及しない)予断を許さない状況にあると考えています。レセコンとしてのORCAには、従来のレセコンに比し多くの優勢性があるのは事実です。例えば、インターネットを利用して、無償で点数改正に対応でき、プログラムを更新することも可能です。従来のレセコンの比較して安価です。病名、薬剤名、処置などの診療情報が標準化されており、将来にわたって、それらを二次利用することが可能です。ネットワークを介して、いつも使っているパソコンからも利用できますので、受付だけではなく、診察室や薬局からもレセコンの閲覧、入力が可能です。また、このような使い方に市販レセコンのような制約がありません。さらには、われわれの母体組織である日医がわれわれの会費を投資して開発しているのです。普通 に考えれば、普及しないわけはないのです。しかし、普及に弾みがつかないのはなぜでしょうか?


その理由は、サポート業者が育っていないことにつきるのでは、と私は考えています。ORCAは、日医総研が開発し、無償で提供されているレセプトソフトです。無償という意味は、ソフトウエアがインターネット上に公開されていて、それを自由に使えるということで、運用に当たっては、ORCAに精通した業者の仲介が必須 です。レセコンを運用するには、操作法だけではなく、診療報酬体系についての知識も不可欠ですので、業者にはコンピュータのメンテナンスばかりでなく、レセプト作成に必要な種々のサポートも求められます。レセコンサポートが、“素人”が安直に参入できるようなビジネスシーンではなかった、という誤算が日医総研にも、業者側にもあったのではないかと推測しています。


ORCAビジネスに参入はしたものの、きちんとしたサポートできない、あるいは、大変な割には、思ったほど導入医療機関が少なく儲けにならない、として撤退した業者も少なくないと聞きます。また、このような不幸が生じた場合、ORCAは使えないという風評が立つことも、仕方がないことだと思われます。業者の質を担保するために、日医はIT認定事業者制度を設置していますが、認定業者ですら、ORCAビジネスから撤退している例もあると聞きます。


業者の撤退は、業者側にだけ問題があるわけではないようです。ORCA自体、未だにバージョンアップが頻回で、しかもバージョンアップ時にトラブルが生じることが少なからずあることも業者泣かせになっているようです。バージョンアップしたとたん、起動しなくなったという事例も報告されています。業者は少なくともバージョンアップがきちんとできることを検証して、初めて、納入先の診療所のORCAをバージョンアップすることになりますが、これが結構な手間になっているようです。また、バージョンアップにより、操作法が変わってしまうことも、業者にとって辛いところです。開発側には機能のアップより、レセプトソフトとしての早急な安定を、まずは目指して欲しいと思います。


先日、私のところのORCAが、レセプト提出前日にトラブルを起こしました。当院は、レセ電算で請求していますが、そのファイルを作成できないという最悪の状況でした。早速、ORCAサポートセンターに電話を入れたところ、副所長さんが、夜行で鶴岡まで駆けつけてくれました。ORCAを導入している医療機関に絶対迷惑はかけられないとの言葉でした。そして、丸1日、開発元と電話でやり取りしながら、当院のORCAの復旧に当たってくれました。また、所長さんは、支払い基金に電話をし、これこれしかじかで提出が遅れるが受理してくれるよう、頼み込んでくれました。私のところは、業者なしでの運用で、自己責任でやっていますので、ORCAサポートセンターには、何の責任もないのですが、このように、ORCAプロジェクトに寝食を惜しまず、熱い想いで取り組んでいる人がいることに、 恐縮ととともに、感激すら覚えました。


ORCAは、診療情報を共有して医療連携に応用する、蓄積したデータを解析してEBM的に活用する、国の点数改正などに対抗するデータとして利用する、電子カルテと連携させるなど、単に安価なレセコンに留まらない、医療の向上に寄与する可能性を秘めたプロジェクトだと考えています。すでに、機能的には、従来のレセコンに比べても遜色のないソフトに仕上がっています。ORCAが普及することは、われわれにとって利点が多いはずです。ORCAプロジェクトを暖かく見守って頂きたいと思います。そして、多くの会員が積極的にORCAに関わっていけば、サポート業者もおのずと育っていくものと確信しています。