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トップ  >  編集後記 (県医師会会報誌 09年10月号)
佐藤常任理事が今月号の筆硯に書いているが、先日、福島で行われた東北医師会連合会のシンポジウム「地域医療再生の道」において、山形県の代表として、鶴岡・三川地区で介入研究が行われている「緩和ケア普及のための地域プロジェクト」について、その概要と取り組みの現状を報告してきた。

このプロジェクトは、地域に緩和ケアを普及させるために、より具体的には、がん患者を在宅で看取ることができる体制を地域に定着させるためにはどのような介入が有効であるのかを研究するものである。研究対象として、全国で4地域が選ばれたが、当地区は緩和ケアが十分整備されていない地域として選定され、国立がんセンター中央病院の支援を受け、プロジェクトの4本柱である医療者教育、市民啓発、地域連携、専門緩和ケアに沿って、さまざまな活動が行われている。

医療者教育は、教育・研修を通して、緩和ケアに必要とされる知識、技術をなるべく多くの医療者に移入することで、地域のどこでも同じレベルの緩和ケアが受けられるようにするための取り組み。市民啓発は、緩和ケアを正しく理解してもらい、希望があれば十分な緩和ケアのもとで在宅でも最期を迎えることができるということを地域の方々に知ってもらうための取り組み。地域連携は、在宅で患者をみていく際に必要となる多職種、多施設によるチーム医療を実現するための取り組み。専門緩和ケアは、緩和ケア専門医を配置することで、地域への支援体制を確立するための取り組みである。

この教育、啓発、連携、専門医という4つのテーマ毎に行動計画を作成し、それを着実に実行していくという作業は、緩和ケアに限ったものではなく、地域医療の質的向上を目指すには普遍的な方法論ともいえる。しかし、当地区のプロジェクトがここに至るまでには中央からの強力な支援、関連各位の心血を注ぐ努力、話し合いのための膨大な時間、そして金も必要であり、方法論が確立されたとして、本当に各地域に展開できるのだろうか、という思いはある。プロジェクトを通して、地域医療をどうレベルアップして行けばよいのかある程度の道筋はみえた気はするが、険しく長い道のりであることも再認識させられている。