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トップ  >  「地域ぐるみで取り組む糖尿病の診療連携と疾病管理 〜MAP&パスが開く新たな世界〜」を聴講して(めでぃかすとる2012/1)
11月25日、千葉県立東金病院院長の平井愛山先生を講師にお招きして、庄内南部地域連携パス推進協議会主催による、糖尿病地域連携パスに関する講演会が行われた。

実は講師の平井先生とは、10年程前、当時、国立国際医療センターにおられた秋山昌範先生(Net4Uの生みの親)が班長を務める厚労省の班会議で一緒に活動させて頂いて以来の仲で、その後、各地のシンポジウムなどで、お互いの医療情報化の進捗状況やその成果を発表し合ってきた。先生の発表はいつもエネルギッシュで、そのパワフルな活躍ぶりにはいつも驚かされていたものである。

平井先生は、98年に千葉県立東金病院に院長として千葉大学から赴任したが、赴任先の山武 (さんぶ)医療圏は、糖尿病の悪化率が著しい地域であった。この状況を改善するには、地域全体で糖尿病に取り組む必要があると感じた先生は、院長自らが開業医に向けた勉強会を定期的に行い、技術(インスリン療法)を病院から地域へ移転することによる、病診連携を基盤とした糖尿病対策に地域ぐるみで取り組んできた。今でこそ一般的になりつつある地域連携パスの先駆けとなるような取り組みを10年以上前から実践してきたのである。

一方で、山武医療圏の中核である東金病院は、新研修医制度の影響をもろに受け、04年10月には、10名いた内科医が2人にまで激減するという危機的な状況に追い込まれた。先生のすごいところは、国が悪い、制度が悪いなどと現状を嘆くのではなく、医師の供給システムが変わったことを地域医療再生の好機ととらえ、地域連携パスを核とした、あたらしい地域連携の枠組みを作り上げようとしていることである。山武医療圏の医療崩壊の危機から再生までの過程は、慶應大学の秋山美紀先生との共著になる 「地域医療を守れ」に詳しいので、ご覧いただければと思う。

さて、講演のテーマは、「地域ぐるみで取り組む糖尿病の診療連携と疾病管理 〜MAP&パスが開く新たな世界〜」というもので、糖尿病患者約3,000名をデータベース化し、糖尿病の予後を左右する必要最低限の検査データ(ミニマムデータセット)を指標として患者を階層化し(疾患管理マップ*)、予後不良群に積極的に介入することで、重症化を未然に防ぐ対策を進めているという。このように、地域全体で疾患を管理することが、地域医療を守ることになるのだと熱く語っていた。さらに、頸動脈エコーでのスクリーニングと256列CTによる冠動脈造影で、糖尿病患者に多いと言われている無症候性心筋虚血を早期に診断・治療することで、心筋梗塞の発症を防ぎ、医療費の削減にも貢献していると述べた。

地域医療が進むべき方向性に示唆を頂いたすばらし講演だったが、何より先生の息の長いエネルギッシュな活動に大きな感銘を受けた。