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トップ  >  編集後記(県 2007.02)

山形県会報誌 編集後記
三原一郎
2007年2月号



地方病院での医師不足が深刻な問題となっています。その最大の要因は、新臨床研修医制度により、それまで地方への医師供給を担ってきた大学医局に研修医が残らなくなったためであることは論を待ちません。


この背景には、小泉内閣が中心となって進めてきた新自由主義の台頭、すなわち国家によるサービスの縮小(小さな政府、民営化)と、大幅な規制緩和、市場原理主義があると思われます。そのおかげで、独立行政法人化した国立大学病院や一般病院は、研修医を獲得するために、さまざまな創意 ・ 工夫をするようになりました。研修医も、多くの選択肢から自由に研修病院を選べるようになりました。魅力のある大学、病院でないと研修医が集まらなくなったのです。診療面においても病院間での競争が激化し、無駄なコストの見直しなどによる経営努力や、接遇 ・ アメニティーを含めたサービス意識が高まり、患者満足度を強く意識した医療を提供しようという、良い意味の競争意識が芽生えたことも事実だと思います。


一方、その過程で、研修医を含む若手医師が大都会の有名大学病院や民間病院へ集中し、地方が医師不足となるのは、「自由」を旗頭とし、「競争」をそのエネルギー源とする新自由主義では、当然の帰結なのかもしれません。地方の医師不足は、国の愚策のために生じた問題ではなく、国が医療を含め新自由主義へ向かって舵取りを進めていることから生じた根源的な問題とも考えられます。


しかし、新自由主義の元での競争原理は、格差社会という副作用も伴います。医師不足も都市と地方、また、大学や病院間での格差による生じた問題ともいえます。競争による活力を医療の安全面を含めた質的向上に生かしながら、いかに医療格差をおさえられるか、日本の医療の今後の課題かと思われます。