先進的IT活用による医療を中心としたネットワーク化推進事業

[はじめに][背景][課題と目標][概要1][概要2][Net4U][参加機関][効果][評価][おわりに]


<背景>

まずは、当地区医師会の現況を述べます。当地区医師会がカバーする二次医療圏は、鶴岡市とその周辺の町村(人口10数万)から構成され、鶴岡市立荘内病院を中核病院とし、約100の医療機関が所属しています。当地区医師会では、1997年より、ネットワークを活用したよりよい医療を目指して情報化を推進してきました。

まず1997年に、医師会館内にイントラネットサーバを設置し、医師会、医療機関、訪問看護ステーションなどを相互に結ぶ地域限局型のパソコンネットワークを構築しました。このネットワークを利用して、さまざまな医療情報の流通を促すとともに、以下に述べるようなシステムを構築し活用してきました。

在宅患者情報共有システム:在宅患者を24時間体制でケアーすることを支援するシステムです。医師会のサーバ上に患者情報をDB化し、それを3〜5人の連携医(3−5人のグループ)で共有します。このシステムの利用で、主治医の不在時の対応が簡便化されました。現在300名の患者を登録し、10名の医師がこのシステムを利用しています。

訪問看護介護システム:訪問看護している在宅患者をデータベース化し、データベースより訪問看護計画書や報告書、看護サマリなどの各種書類を自動作成するシステムです。これら書類はメールなどを利用し、主治医間とでやりとりされています。

臨床検査オンラインシステム:医師会の臨床検査データを既存のイントラネットを利用してオンラインで閲覧できるようにしたシステムです。より迅速に、時系列あるはグラフ化して検査データを閲覧できるようになりました。しかし、個人情報保護の問題もあり、医療機関同士で共有するまでには至っていません。

医療機関の機能開示:当地区のすべての医療機関から、どんな検査や治療が可能であるかなどの診療機能の開示を求め、それをデータベース化し、冊子やイントラネットなどで公開しました。医療機関連携の基礎データとなるものです。

現在、100医療機関のうち約70の施設がイントラネットに参加しています。

なお、ネットワークの構築からシステムの開発まですべて医師会で独自に行いました。いわば自社開発です。