先進的IT活用による医療を中心としたネットワーク化推進事業

[はじめに][背景][課題と目標][概要1][概要2][Net4U][参加機関][効果][評価][おわりに]


<評価>

実証実験の評価内容は以下を考えています。

1) 1生涯/1患者/1カルテ機能の評価

新宿区医師会での包括的ケアシステム(ゆーねっと)に登録された患者に、鶴岡地区医師会の本事業参加医療機関を受診してもらい、画像を含めたカルテ情報を共有できるかを検証する。

2)検体検査システム連携機能の評価

鶴岡地区医師会が運営する臨床検査センターに提出した検体検査の結果がリアルタイムに該当患者の地域電子カルテから閲覧できるかを検証する。また、結果の表示を経時的あるいはグラフ化して患者に提供し、インフォームドコンセントあるいは患者サービスにどの程度役立ったかを各医療機関へのアンケート調査で評価する。

3)放射線検査連携機能の評価

診療所からの中核病院である荘内病院への放射線科依頼(CTやMRなどの撮影依頼)は、従来予約、検査(撮影)、結果受理の3回の受診が必要であった。地域電子カルテシステムを利用することで、放射線科依頼の際の荘内病院への受診回数の逓減が期待される。そこで、荘内病院への放射線科依頼患者数とその受診回数を調査し、逓減効果を評価する。また、実際の運用が病診連携室を介して行われる場合は、運用の手間などを聞き取り調査し評価する。

4)訪問看護連携機能の評価

従来、各医療機関と訪問看護ステーションとの間では、訪問看護指示書、報告書、訪問看護サマリーなどの看護情報、サービス利用票、サービス利用別表などのケアプラン情報などがおもに紙情報としてやりとりされている。今回のシステムでは、これら情報をデジタル化するとともに、情報伝達を地域電子カルテを介した、すなわち患者を中心に据えた方式への移行を試みることになる。

そこで、評価項目を上記情報の入力やデジタル化する際の手間、地域電子カルテ上で閲覧する際の操作性、これら情報を電子カルテを介して共有する際の利便性などをおもにアンケート調査を通して評価する。

5)操作性の検証

電子カルテそのものの使い勝手を評価する。操作習得の容易さ、操作自体の容易さ、レスポンスなどの項目を設定し、全参加医療機関にアンケート調査を実施し評価する。

6)運用方式の検証

今回の地域電子カルテシステムの運用は、従来の紙カルテとの併用であり、従来より手間がかかることが想定される。例えば、地域電子カルテに入力した所見、処方などを印刷して従来の紙カルテに添付する方法や、医師は従来と同様に紙カルテのみの記載とし、スタッフが情報を入力するなどの運用方法を試み、これらが実用に値するものであるかを聞き取り調査し評価する。

7)患者の利便性の向上、医療経済観点からの評価

地域電子カルテを導入することによって得られた各種効果の評価を行う。今回の事業での、地域電子カルテサーバへの患者登録数は500〜1000と見込まれる。これら登録患者がどの程度に複数の医療機関を受診しているかを調査し、診療情報を共有することで実際の診療におけるメリットを病診連携の視点、重複投薬、重複検査の防止の観点などからアンケート調査を実施して評価する。