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第2回:ORCA プロジェクトとその背景


ORCA プロジェクトとは

 ORCA プロジェクト、医療情報ネットワーク推進委員会にて「医師会総合情報ネットワーク構想」(1997年 情報化検討委員会)を構成するツールの一つとして認められた日本医師会(日医)の研究事業プロジェクトである。その概要は、以下の日医IT宣言で理解できるかと思う。


日医IT宣言

日本医師会は、医療現場のIT化(情報技術)を進めるため、土台となるネットワークづくりを行うことを宣言します。まず、各医療現場に標準化されたオンライン診療レセプトシステムを導入し、互換性のある医療情報をやりとりできるようにする計画(ORCA ,Online Receipt Computer Advantage)を推進します。この計画のために日医が開発したプログラムやデータベースは全て無償で公開されます。医療現場の事務作業の効率化を図り、コストを軽減させると同時に、誰もが自由に利用できる開放的なネットワークを形成し、国民に高度で良質な医療を提供することをめざします。

すわなち、オンライン化されたレセプトシステムを医療機関に普及させることで、1)互換性のある医療情報をやり取りできるようにする、2)医療現場での事務作業を効率化し、コストを削減させる、3)日医と医療機関とを結ぶネットワークを利用することで、国民に高度で良質な医療を提供する、4)プログラムなどは無償で公開する、というものである。


ORCAプロジェクトのシナリオ

日医は、ORCAプロジェクトのシナリオを以下としている。

1. 医療のIT(Information Technology)化を日医主導で進め、政策提案の元となる情報を収集するには、医療機関を結ぶコンピュータのネットワークが必要
2. 上記の実現にはセキュリティの高いネットワークと各医療機関に端末が必要
3. 端末への付加機能としてニーズの高いソフトウェアを開発、無償公開して普及を図る
4. その結果医療情報交換の効率化と標準化が進み、国民医療が改善する


ORCAプロジェクトの背景

現在、全国約10万箇所の医療機関の8割以上が、毎月の診療報酬を請求するため、専用コンピュータ(レセコン)を使用している。このレセコンは、主に民間企業主体で開発 ・ 販売され、メンテナンス費用を含めると、高いものでは700万円から800万円、安いものでも300万円から400万円の投資が必要である。また、それぞれの企業が独自に開発を進めた結果、データの形式にほとんど互換性がなく、ネットワーク化も進んでいないのが現状である。
この現状を打破し、医療のIT化、医療情報の標準化を進めるためには、レセコンを企業主導ではなく、日医主導で開発することが不可欠と考えた。この英断は、多くの会員にとって評価できるものであろう。また、レセプトソフト(ORCA)と日医とをネットワークで結ぶことで、点数改正や日医からの情報の配信、さらには、診療情報の収集による医療政策提言にまで活用しようと考えたのもインターネットが普及した現状では、当然の判断と思う。


オープンソースとしてのORCA

一方で、レセコンの配布方法として、レセプトソフトをオープンソース(プログラムを公開しながら開発を進める方法)とし、それを無償でネットワーク上に公開するという、前代未聞の斬新な手法を選択した。この配布方法については、多くの会員が驚き、また戸惑ったのも事実ではないかと思われる。また、OS(基本ソフト)として、一般に普及しているウインドウズではなく、Linux(リナックス)というこれまたオープンソースのOSを選択したことも、賛否両論大いに話題となった。日医総研がLinuxというOSを選択した最大の理由は、ウインドウズは、マイクロソフトという企業の商品であり、商品を使う限りおいて、日医主導で自由なレセプトソフトは開発できないとの考えに基づくものである。この点に関しても、ORCA自体がオープンソースで開発するのであれば、それを動かす元となるOSとしてオープンソースの元祖であるLinuxを選択することは必然性があると、筆者は考えている。しかし、無償かつオープソースとしたことが、吉と出るか、凶と出るのか、まだ判断できない状況にある。次号は、レセプトソフトとしてのORCAについて、解説したい。


文責:三原一郎 (無断転載禁)